HORAMA-LINE HORAMA-TUBE

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【濃密1万字】展示即売会を開催して見えた「アートを売る」上で考えなければならない日本の現状

どんなに小さくても価値の上がっていくものでなくてはならない。

 

 

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先日、「HORAMA-LINE.inc presents PANDEMO-HELTH POP UP SHOP」が終了しました。前回記事にて簡単な挨拶をさせていただきました。まだの方は下のリンクから読んでください。

 

horama-line.hatenablog.com

 

 

本記事では、「この催事が何だったのか」「新しい施策の裏側と本音」を詳しく書きました。かなり長い内容になっています。しかし、何かを発信して、自分ぼ商品を持って誰かと繋がり生きていこうとしているすべての人にとって、とても大事な内容なので是非、最後までお読みください。

 

 

ここ最近は「絵画を売る」という事をど底辺から考えていました。


「日本ではアートが売れない」


これまで幾度もこの話題になっては具体案が出ないまま、作品を展示・公開するだけで世界に発信した気になっていました。


この行為によって作品が世界のどこに届くこともなく、また、何かと比較・検討されるというような天秤に計られる事なく終わってしまっていました。


今回の「PANDEMO-HELTH POP UP SHOP」を開催するにあたり、これまでの展示をやっていては間違いなく失敗する事は目に見えていたため、新しい方法を模索しました。

 


①作者が在廊しない

SNSで連絡を取り合って会場を「待ち合わせ場所」にする

③作品が異常なまでに低価格

④音声ガイドと鑑賞用BGMの設置

⑤ラストワン賞の導入

 


順を追って説明していきます。 

 


①作者が在廊しない

 


まずハッキリと書いておきます。「在廊しない」の第一の理由はそもそも在廊「できない」という物理的な問題がありました。


通常、ギャラリーなどで個展を開くと言えば、作者が常駐しているのが基本です。しかしそれをしてしまうと城台の生活は維持できません。会場で販売している作品を売るだけでは生活できないからです。


さらに去年の収支を確定申告した時に暫定で発生した所得税は約6万円でした。にも拘らず、城台の口座には2020年末時点で3万円程度しか入っていませんでした。


当然、これから住民税と国民健康保険の支払い(請求額未定)と月々の家賃その他の固定費の支払いが迫ってきます。

 
簡単に言えば「負債」です。これを期日までに支払い切るまでに資金を用意(稼ぐ)する必要があります。

 

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その日暮らし以下の生活です。本来なら「あるでしょ?その内の一部を納めてもらいますからね」というのが税金です。ある前提での請求なので容赦ありません。

 
そんなこんなで今はお国の為に身を粉にして働いている状態です。

 
しかしそれだけをやっていたら自分の現状は前には進みません。負債を背負っているから、今は支払うべきお金を集めないといけないから、という理由で自分のやるべき事を後回しにすればするほど、世界の流れから出遅れ取り残されてしまいます。

 
会場に常駐するなど夢のまた夢です。そういった理由が第一にありました。

 
その他には、常駐するとだいたい寝てしまうという事が幾度もあったので、その姿をあまり見られたくない。いざお客さんが来たら受け身を通り越して自分が閉じてしまう。

 
在廊する事でマイナスに機能しかねない自分の弱さが出ないようにする抜本的な解決策です。


金銭的問題と自意識の問題。この2つの問題点に向き合って決めたのが「①作者が在廊しない」でした。それを逆手に取ってプラスに作用して一石二鳥に出来るかもしれないと打ち出したのが②です。

 


SNSで連絡を取り合って会場を「待ち合わせ場所」にする

 


POP UP  SHOPと銘打ちながら会場に常駐しないで働いている。何をして稼いでいるのか。


フードデリバリーサービスUberEatsです。

 

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この仕事のいいところは「いつでも始められて、いつでも辞められる」です。

 
会場のアートエリアasi-paraの営業時間が12時〜19時なので、その間にお客さんから連絡を受けたら30分以内に会場に向かうようにしました。予め予約も受け付けていました。 


在廊という、ひたすら待ちの体制だと集中力が切れてしまうというデメリットを払拭できます。常に連絡を気にしながらすぐに動ける状態を作っておく。

 
自分の精神状態はかなりいい状態を維持できました。これは実際にやってみて実感しました。会期中は雨の日もありました。さらにこれはUberEatsの仕様なのですが、「配達先がどこかわからない状態で商品を受け取らなければならない」という謎仕様によって、あらぬ場所に配達に行くこともありました(片道7キロとかあって死んだ)。そのような状況に陥ってもすぐに30分以内に向かえる距離まで戻っていました。

 
そして一番大きいのは、会場をお客さんとの「待ち合わせ場所」にする事で『体験価値』が生まれるという事。

 

 

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作者が会場に常駐するのはある種、礼儀かもしれません。そんな中、SNSをフォローしてから、わざわざ連絡するという一手間を課すのはハードルが高くなったと思います。

 
これは主催側の怠慢に映る可能性もありました。上記の「金がない問題」はこれまで伏せていたので疑問を抱く方もいたと思います。

 
そこでちょうど福岡県にも降りかかった緊急事態宣言をうまく活用しようと思いました。

 
作者が会場に常駐しない事とSNSで連絡を取り合って会場を待ち合わせ場所にする方法に、外出自粛が呼びかけられる中、人との接触頻度を抑えるという意味合いが加味されました。

 

  

③作品が異常なまでに低価格

 


さて、アート作品の価格というものほど不透明なものはないと思います。相場というものもありません。全て作者の判断に委ねられます。

 
アート作品といえば、どれぐらいの値段を想像するでしょうか。

 
一点数千万円から数億円レベルのもの。

 

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極端かもしれませんが、これが頭に浮かぶ方は少なくありません。それと同時になぜこのような値がつくのか、というメカニズムは知られていません。

 
大体はオークションにかけられて値段が釣り上がっていくパターンです。


このオークションというのも、当然ながら誰でも出品出来るものではありません。然るべき審査の上で決定されます。さらに誰でも門を叩けるものでもありません。色々なコネやパイプが必要なのでしょう。この辺に関しては城台もよくわかりません。誰かご教授願います。


天文学的な値がつくアート作品の仲間入りをするには「作品を作り続けているだけ」では無理で、人間関係でそこに進んでいかなければなりません。これは然るべきタイミングが来るまで横に置いておきましょう。

 
それは置いておいても、やはり高額なイメージがある。一点数万円の値がついてる。これには以下の理由があります。


「一点もの」だから

 

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一点作るのに数日を要したとして、それに材料代を足し、利益分を上乗せする。これがいわゆる原価です。ここに作品を販売するために「会場代」「作品梱包代」「交通費」などなどの雑費が加算されます。これでは数万円の価格を付けなければ、作家は赤字になります。

 
作品が売れなければ赤字。作品だけの経費だけではありません。その間発生する月々の固定費がのしかかってきます。家賃・光熱費・食費などなど。月10万円とかになるでしょう。作品が売れない場合、これは「労働」で埋め合わせるしかない。

 
高いと思われていたアート作品の価格設定も、こうして見るとギリギリの状態です。


個展一回で公開された作品が全て売れた場合、これまでの活動であれば半年か一年は余裕で暮らしていけるだけの利益を出さなくてはなりません。


アートとは農業に似ていると言われる事があります。農業は一年間の成果を秋頃に収穫して売りに出します。夏の台風で熟す前の実が全部ダメになった、なんてニュースを見た事があると思います。


アート作品もそういった時間感覚で生み出されています。価格設定が高くなってしまうのも無理はありません。さらに農作物とは大きく異なる点が一つあります。


農作物(食物)は毎日食べるものなので、毎日需要が生まれます。しかしアート作品は一回買ったら、大切にされる反面、なかなか次の作品を買ってもらえません。


スーパーで買ったコロッケが美味しかったからまた明日買おう。これがことアート作品となるとそうはいきません。


日本は特にそうですが、絵を飾る習慣がありません。床の間に掛け軸を飾るにも、持ち家よりも賃貸を選ぶようになり、マンションに床の間はありません。


賃貸だと壁に穴を開けると退去する際に修繕費を請求される恐れがあります。


さらに日本は長い不況の中でようやく建前や見栄を捨てて、現在はシンプルな生活様式を選ぶ傾向になってきました。真っ白い何もない壁は、もうそれだけで美しく洗練されているのです。


海外の映画を見るとよく分かりますが、家の壁という壁に写真や絵が飾られています。海外では季節ごとなどカジュアルに絵を入れ替えて飾る習慣もできているようです。

 

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そして繁華街を歩くと、とてつもないクオリティのショーウィンドウや店舗の数々。

 

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(今回の会場アートエリアasi-para福岡天神周辺施設:岩田屋グッチ、ルイヴィトン 警固店、福岡大丸外観、ドラッグイレブン)

 

 

これを意識的に覗くこともなく、ただ目的地まで歩いているだけで自然と目に入ってしまう。無意識でも脳はこれを視覚情報として受け取っています。潜在意識の中では深い刺激を受けています。

 

気が付けば人々の目はかなり肥えてしまい、ちょっとやそっとでは驚かなくなっています。そのような前提条件にある人たちに、わざわざ足を運んでもらって見に来てもらうには、提供しなければならないクオリティやハードルはかなり高くなっています。


日本でアートを売るという事を考え出すと、作品のクオリティや作家の熱量だけではどうにもならない、理解しなければならない問題がある事がわかります。


もし、作品を気に入ってもらえても、お客さんの心情だけでは購入に踏み切れない「生活環境の特性」があります。

 

たとえ手に取りやすい価格をと思って、小さい作品で数万円のものを出品したとしても、お客さんの側からしてみれば、毎日ギリギリに切り詰めて生活している状態ではそれを買うのも厳しい。

 

もし家計から数万円の余裕を生み出せたとして、部屋に飾るものを買うでしょうか?

 

家で使っている家電は全て万全の状態で動いているでしょうか?

 

クーラーの調子が悪い、冷蔵庫を大きくしたい、掃除をする時間を短縮したいからダイソンを買う、ルンバに切り替えてもう掃除をしない。

 

生活に必要な衣食住が満たされて、先の未来のためのある程度の貯金を自分に課し、その上澄みが毎月の可処分所得です。やっと使える自由なお金です。

 

そして、現在のエンタメの大部分は動画によって形成されているのは大きいです。

 

YouTubeはアカウントなしでも誰でも無料で見放題、月数百円出せばamazonプライムビデオもNETFRIXも見放題。数百人で作り上げる映画がほぼほぼタダのように消費される時代。


なのでアートを買うという選択は日常生活の中にはありません。自室を彩るものに数万円の予算を割く余裕はありません。アートを買うという経験自体をしないまま、日本では特にアートに対して、メディアを通じてより大きく話題になるような、数千万円、数億円の別世界の産物を一番強く認識しています。

 

前提が長くなってしまいました。

 

上記にあるように、数千万円のアート作品はオークションという場において値段が釣り上がって結果的に生まれます。

 

そして作家がいきなりそこに辿り着く事はできない。門を叩き、中に入るには適切な段階を踏まなければならない。

 

ある種、権威主義的なものがあるのかもしれません。仮にそこまで登り詰める事ができたとして、世間一般の評価は上がりません。

 

結局のところ「よくわからない人」という評価になります。現代美術家の方々にしても、凄いのかもしれないけど、何が凄いのかよくわからない。

 

オークションのシステムなどの記述で参考にさせてもらったのは村上隆さんの「芸術起業論」です。

 

芸術起業論 (幻冬舎文庫)

芸術起業論 (幻冬舎文庫)

 

 

 

この方も世界的に評価を受けていますが、やはり別世界の人、何がどう凄いのか、受け入れられている理由が、イマイチ不透明なままな方が世間的には多いのが現状です(城台は最高にハマっています)。

 

つまり、作家は自分の作品を世に浸透させるために高い山を登った。そこには別の景色があった。違うステージに行ってしまった事で、一人だけ別世界の住人になっているわけです。そうなってはアートは変わらず、別世界なもののままです。

 

このような状況をまず理解した上で、作品を売って、それを生活費+次回作の制作費に当てるビジネスモデルでは戦っていけるはずもありません。目を向けるべきは「これまで通りでありながら蔑ろにされていた部分」です。

 

アートギャラリーでは一点ものの作品には数万円の値がつけられます。それはそうしないと利益が見込めず、赤字を垂れ流していては個人が同じ活動を続けていけないからです。しかしそれは購入者側に立った場合、手の届く価格ではなかった。このミスマッチによって、活動継続に必要な額が作家自身の首を絞めていました。本末転倒です。

 

今回のPOP UP SHOPでは販売価格をほどんど数千円に設定しました。

 

個展と言わずに「POP UP SHOP」と表記する事も、アート作品と言うよりも「インテリア雑貨」として打ち出していた事も、全ては「アート」という謎の近寄り難いイメージを払拭する目的で行っていました。

 

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価格を極限まで下げることにより、より気軽に手に取ってもらうように、家の壁に一つ、絵を飾る体験をしてもらう事を第一に考えての事でした。

 

サイズも大きすぎず小さすぎないものにし、画鋲ひとつで壁に飾れる重さのものを。ダイソーなどの100円ショップに行けば、針が従来の半分暗いの小さい画鋲も売っています。壁を痛めずにアートを楽しめるように。

 

もう一つ。例えば今回出品した「S0(18cm角キャンバス」は3,300円でした。

 

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これは今後もこの値段で販売し続けるのではなく、次に作る時は4,000円、5,000円、ゆくゆくは10,000円へとと少しずつ値段を上げていきます。

 

値段が上がる事はすなわち、価値が上がるという事です。今回3,000円で購入していただいた方の手元の作品の価値も上がっていくという事。簡単に言えば「株券」のようなものです。

 

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低い値段設定なのは、「手に取ってもらいやすいように」というのと同時に、購入者の方と一緒に価値を上げていく事を目的としています。

 

最終的に、アート市場の認知・理解を深めて全体を底上げする事です。自分一人だけで登っていくのではなく、みんなで上がっていく。昭和・平成と豊かさの解釈は一元的でしたが、これからは多様な生き方が認められる時代になります。多様性というと、マイノリティが権利を得ただけのように理解している方が多いかもしれません。そうではなく、誰でも生き方を選択できます。

 

自由な生き方をするには、まずは選択肢がある事を認識し、それを選び取り「体験」する事で「実感」に変わります。知る事は認めることに繋がり、人それぞれが他者の価値観を受け入れる社会になります。

 

まずは飛び込むこと。その参加ハードルを下げること。新しい方法論をクリエイトする。クリエイターという存在がやらなければならない責務だと思っています。

 

自分にできる社会変革のための第一歩です。

 

 

④音声ガイドと鑑賞用BGMの設置

 

長くなっていますが、もう少しお付き合いください。

 

QRコードを読み込んでリンク先に飛んでもらい、YouTube上に置いてある音声ガイドと鑑賞用BGMを会場で聴けるようにしました。

 


【音声ガイド】HORAMA-LINE.inc presents PANDEMO-HELTH POP UP SHOP 

 


【鑑賞用BGM】HORAMA-LINE.inc presents PANDEMO-HELTH POP UP SHOP

 

 

これは①②に関連しています。基本的に作家が会場に常駐していないという状態でも、作品の制作秘話や③で書いたような、今回の催事で自分が何を担っているのかを理解してもらえるように設置しました。

 

会場でも簡単な挨拶文は書きましたが、このブログのように大量の文章をそのまま置いてしまうと押し付けがましくなると思ったので、会場内の言葉は最低限にしました。

 

音声ガイドをYouTubeに置くことに対して、ここが適切かどうかは考えました。会場にフリーWiFiはないのでデータ通信量を食う形になってしまいます。それなら別の音声メディアをアップする場所はいくらでもあったと思います。Twitterライブの「音声だけ」という形もできただろうし、最近はstand.fmというアプリが広がり始めたタイミングでもありました。

 

しかしながら、いざ再生するにしても馴染みのない方法やアプリを使用しての再生だと、一歩踏み出してもらうのが意外と難しいのが現実です。そういった背景を汲んで選んだのがYouTubeでした。専用のアプリは必要ないし、今このご時世でYouTubeを再生したことのない人はほぼいないだろうという理由でした。

 

動画の可能性について考えると、今はどうしても「物を持たない生活」とのマッチングがうまくいき過ぎていて強い。

 

社会人になって、車を買い、結婚して家を買う。35年ローンで家を建てながら、1〜2年に一回の車検代に悩みながら、その車は持って15年。一生のうちに3〜4台買い換えなければならない。もうこの価値観自体が古過ぎて議論の場に持ち出すことすら野暮かもしれません。

 

今はこれまでのあるべき「幸せの形」を壊すカウンターパンチが繰り広げられています。

 

右にならい続けて組織力を強めて、国際競争に打ち勝ってきた日本の強さというものは30年も前に終わっています。大人になってからは月日が流れるのは異常なほど早く、仕事に熱狂できた人生の最盛期という輝かしい記憶が相まって、未だにそれを引きずる人も少なくありません。

 

しかしその裏で、もっと早く動いていたものが世界です。

 

バブル崩壊と共に日本は不況から一度として脱却できた時がありません。マイホームもマイカーも遠い夢のものとなりました。その中で次世代の若者は新しい幸福の形を模索して見つけていきました。

 

動画配信は無形資産です。まだ一部ではDVD、ブルーレイ、4Kディスクというフォーマットが残ってはいますが、基本はデータ通信のみです。スマホ、パソコン、テレビ。モニターを持っていればそれ以上にスペースが増幅する事はありません。本もこの形を辿っています。

 

24時間365日コンテンツが生産され続けて流行り廃りの変化はこれまでの比較になりません。CDもレコードもブルーレイも本も、有形のものは「価値が認められた記念碑」として受け止められたものだけが購入対象となりました。

 

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これまでは中身は買ってからのお楽しみ、という売り方だったのが、個人個人が思う人生の名盤、名画、名著はデジタル上で無料または低価格で価値を体験してから改めて所有されるように、購入のプロセスが一転しています。

 

 

余談のようですが、全体にとってこれは重要な内容です。信用が担保されているものでなければ売れない。たった一回のその場の出会いで購入が決まるというのは稀です。ほぼ不可能でしょう。その際たる存在がアートです。

 

山奥に引っ込んでひたすら作り続けたものをいきなり「ドンッ」では誰も食いつかない時代になりました。SNSによって常時接続された人間関係の中で、情報発信を怠らない露出し続けて相手の印象に残り続ける必要があります。その土壌をしっかり作った上での展開が必須になっています。

 

世の中は突然のサプライズよりも、壮大な伏線回収が求められています。 

 

ネタバレ上等の発信を続けていって、自分の考え、思想も何度も繰り返す必要があります。やがてファンになってくれた人は何度も何度も同じ話をしていく事で「そう、それそれ」と肯いてくれるでしょう。

 

キングコング西野さんがクラウドファンディングは信用の両替機だと言って、信用とは何かを説明する際に、ホームレス小谷さんを例に話すときのような感じです。

 


キンコン西野「金集めで、ロンブー淳に、ホームレスが圧勝した理由」

 

 

新しいものに飛びついていくフットワークの軽さは必要です。新しいアプリは使ってみる方がいい。それ以上に重要なのは、近くの人を牽引していく力です。外のより良いものを受け入れていく事よりも、自分の中にあるものを適切に発信し、届けたい人に届ける事です。

 

YouTubeで音声ガイドをアップしたのは、自分の考えを一番発信している場所であるからです。ただ動画を置いておける場所だからYouTubeを使ったわけではありません。その導線にもしたいと言うのも目的の一つでした。

 

1つのアイデアも一石二鳥三鳥とできれば、より思いついたアイデアをすべきだという意志が湧いてきます。

 

 

⑤ラストワン賞の導入

 

ようやく最後です。

 

会期後半にラストワン賞を設置しました。これは言わずもがなバンダイがコンビニなどで展開している「一番くじ」のラストワン賞をパクりました。一番最後にくじを引いた人にプレゼントされるものです。多くはA賞(1等)の色違いなど無料でもらえるにも関わらず意外と豪華です。

 

bpnavi.jp

 

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これは昨年12月に新しく生まれたアイデアで、今後シリーズ化させて制作していきます。シリーズ名は「30A Riot」です。この意味などはまた別の記事で話します。

 

これには③④と関連しています。アートを飾る習慣の第一歩の促進と、発信し続けてその蓄積の上で届けることの第一歩です。

 

これはまだ作り始めて2ヶ月も経っていません。自分自身も情報整理がまだまだできていないのでコンセプトも制作方法も端的に説明しきれません。しかしそれでも自分自身で可能性を感じているシリーズなので、まずは生で見てもらいたい、手にとってもらいたい。

 

今回の催事で数千円の価格で販売できているのは、PANDEMO-HEALTHという作品群の制作が特殊で、1日10分程度やっては乾かして翌日また10分やるというのを4〜5日かけて作っています。なので拘束時間と時給だけ考えれば価格を抑えることが出来ました。なので従来の作家とは違い、安く販売することが出来ました。

 

けれど「30A Riot」はそうはいきません。かなり時間がかかるとともに、構図を考えるのにかなりの労力が必要でした。これをPANDEMO-HEALTHと同じ価格帯で販売するのは無理です。なので、③で書いたようなコンセプトで今後の展開をしていく事を考えると、「30A Riot」を販売していくのはまだ先になりそうです。

 

それでも明確に「やっている事」を発信するには、販売はしない、ただ見せるためだけに置いておくという事もしない。残ったのはプレゼントです。以前、twitterでプレゼント企画をしてみましたが、あまりその後の展開には繋がらなかったので、今度は直接届けてみようと思いました。

 

これが客寄せの役割を果たしてくれるなら、それはそれで一石二鳥だし、やってみての実験結果も得られるのでいいこと尽くめです。シリーズごとに発信方法を区切っていては時間がかかってしまうので、やれる機会が限られているならば、その中でやれる事はなんでもねじ込んでいかなければ見えてこないものばかりです。それでは成長速度は遅いし、世界はどんどん先に進んで行ってしまいます。

 

 

さて、ここまで長々と書いてしまいましたが、どうでしょうか。

 

考える事と行動を繰り返して、正解・不正解を検証しても個人では時間も思考量もまるで足りません。思い付いたらすぐに動いてアリバイを残していくことしか出来ません。どこでそれが花開くかも考える事なく。黒歴史なんて言葉を気にしている暇なんてありません。

 

 

 

 

 

 

「出来ない事はやらない、出来る事は全部やる」

 

 

以前打ち出した自分の行動指針です。さらに今年から打ち出している行動指針が、

 

 

「暗がりの中でもがきながら光に手を伸ばす」

 

 

となっています。何を置いてもまずは問題の基礎の基礎を炙り出し、現状と展望を見つめてそこからスタートするしかありません。

 

この記事が誰かの行動の一助になればと思います。ここに書いた今回の施策は全てパクってもらって構いません。もしかしたらもっといい結果が出るかもしれません。紡いで紡いでよりよい未来を迎えましょう。

 

 

 

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